水のコラム

トイレの歴史 ┃人の暮らしと排泄文化の変遷【水道職人:公式】

2025年04月23日  トイレ


私たちが当たり前に使っているトイレ。
ボタン一つで流れる水洗トイレやウォシュレットなど、トイレは快適で清潔な空間が当たり前になった現代ですが、その背景には長い歴史と知恵の積み重ねがあります。
 
今回は、トイレの歴史に焦点を当て、古代から現代まで、どのようにトイレが進化してきたのかを紐解いてみましょう。
 

■古代文明とトイレの始まり


トイレの起源は非常に古く、紀元前2500年ごろのインダス文明(現在のパキスタン周辺)には、既に下水設備とトイレの痕跡が発見されています。
遺跡「モヘンジョ・ダロ」では、レンガで造られた排水溝や、住居ごとにトイレが設けられていた跡があり、清潔な暮らしを重んじていたことがうかがえます。
 
また、古代エジプトやギリシャでも、排泄を管理する仕組みが整っていました。
エジプトでは貴族の邸宅に石造りの椅子型トイレがあり、下には土器が設置されていたそうです。
 
参考:古代遺跡モヘンジョダロにおける給排水 システムの再考*┃J-Stage
 

■ローマ帝国と公共トイレの誕生


トイレ文化を飛躍的に発展させたのは古代ローマです。
都市全体に上下水道が整備され、公衆トイレ「ラトリーナ」が登場します。
これは大理石のベンチに複数の穴が開けられた共同トイレで、水路で常に洗い流されており、誰でも無料で使えたのです。
 
また、当時はテスティクラと呼ばれるスポンジ付きの棒を、トイレットペーパーの代わりに使っていたという説があります。
テスティクラは洗って使いまわしていたようで、現代の衛生概念では考えられない習慣もありました。
 
しかし、「公衆衛生」の概念が初めて具現化した時代でもあったのです。
 

■中世ヨーロッパはトイレの暗黒時代


ローマ帝国の崩壊後、ヨーロッパでは上下水道が廃れ、再び衛生環境が悪化します。
 
パリでは「窓から汚物を投げ捨てる」習慣が一般的で、中世ヨーロッパの都市部では悪臭と感染症が蔓延していたのです。
ペストの大流行もこうした不衛生な環境と無関係ではありませんでした。
 
当時は悪臭が街全体に広がっており、パリの通りには、当時の名残である溝が今もまだ残っております。
 
19世紀半ばにパリでは公衆トイレが設置されましたが、一部の方々から非難を浴び、すぐに撤去されてしまいました。
コレラが流行するまで、パリでは衛生観念が根付かなかったのです。
 
参考:パリの匂いの歴史┃Paris-rama
 

■江戸時代の日本は糞尿のリサイクル文化


一方、日本の江戸時代では、今では驚くほどエコなトイレ文化が築かれていました。
当時のトイレは「汲み取り式」ですが、農村ではこの人糞を下肥(しもごえ)として再利用する仕組みが整っていたのです。
 
商人はお金を払って糞尿を回収してもらうこともあり、「し尿=資源」という意識が広く浸透していました。
 
また、庶民が住んでいた長屋には後架(こうか)と呼ばれる共同トイレが設けられ、都市の清潔がある程度保たれていました。
後架の糞尿は大家が回収し、収入源の一つになっていたそうです。
 

■明治・大正~昭和にかけては水洗トイレへの転換期


明治時代に入り、西洋文化の流入とともに水洗トイレが日本にも伝わります。
しかし、当時は上下水道のインフラが未整備で、都市部を中心にごく一部に限られていました。
 
昭和30年代までは、まだ汲み取り式トイレが主流だったのです。
 
やがて高度経済成長期に突入し、住宅事情やインフラ整備の向上に伴い、徐々に水洗トイレが普及していきます。
昭和35年頃に日本住宅公団の団地で洋式便座が採用されて以降、日本のトイレの歴史は大きく動き始めたのです。
 

■快適性と衛生性を追求した現代のトイレへ


現代では高い普及率を誇るウォシュレットは、昭和42年に誕生したシャワートイレが始まりです。
シャワートイレは、トイレ文化に革命をもたらしました。
当時ではお尻を洗うという機能は世界的にも珍しい技術でしたが、今や日本のトイレには欠かせない存在です。
 
近年では、自動開閉や自動洗浄、脱臭機能、節水・節電タイプなど、高機能なトイレが主流になっています。
災害時の非常用トイレの普及や、ジェンダーフリーなトイレ設計など、社会的な課題への対応も進んでいます。
 
古代から続くトイレの歴史が、現代の快適なトイレへとつながっているのです。
 
参考:1967 時代を先取りしたシャワートイレの誕生┃LIXIL
 

■トイレは文化を映す鏡


トイレの歴史は、人類の衛生観や技術の進歩、社会制度の変化を映す鏡のようなものです。
単なる排泄の場ではなく、環境や健康、生活習慣と密接に結びついた重要な空間だと言えるでしょう。
 
わかやま水道職人は、トイレなどの水まわりのメンテナンスサービスを提供する会社として、清潔で快適な水まわり環境の実現に貢献し続けていきます。
 
トイレのお困りごとは、わかやま水道職人にお気軽にご相談くださいませ。

わかやま水道職人(和歌山水道職人) 0120-492-315

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